gallery


☆玻璃の王宮シリーズ☆

~プロローグ~


(玻璃というのはガラスの事である。)

「玻璃の王宮]

この世界のどこかに玻璃の王宮がある。

ハナは生まれた時からそれを知っていた。

「切子の城壁にびいどろの王座。おれはそれを知っている。 おれは万里を越え七つの海を渡り、玻璃の王宮を探している。」

だがしかし、ハナには玻璃の王宮を見つける事が出来なかった。

万里を越え七つの海を渡ったハナにも、生まれた時から知っている玻璃の王宮を、見つけられなかったのだ。

うなだれるハナの眼前に、それは浮かびあがり、瞬く間に広がった。

(玻璃の王宮だ!)

(違う。)

(水だ、)

(水の王宮だ。)

(不思議だ)

触れても波紋一つ広がらず、しんとただそこに立っている。

触れたはずなのに手が濡れていない。

山の頂でもなく海の底でもなくもはや、玻璃でもなく。

その王宮はハナの内側にしん、と波紋一つ広げる事なく浮かびあがっていた。





求めるがままに水を飲み

空気を吸って息を吐く

ハナはこの旅で何度も、獣を殺して食べた。

その瞳は、かつて殺した獣たちと同じ色を宿していた。

まぶしく輝くあたたかな憧れはハナの血液となり今、はきだした白い息吹さえ、切子の城壁にあたってくだけ、消えていく輝きのように思われた。

その時、ハナの姿こそが玻璃の王宮の景色のようであった。

「ハナの瞳と息吹」


 玻璃の王宮を探す道中、ハナは音楽に出会った。

(つばさが生えたようだ、美しい人!)

「音楽のケープ」








玻璃の王宮に住む鳥は、息吹でガラスの花をつくる。

「ガラスの花マフラー





玻璃の王宮に生い茂る植物たち。種子も玻璃で出来ているだろうか。

「ガラスの種子イヤリング」





ガラスの種子は惑星にも似ている。

「宙いろのドロシャツ」



空には星が瞬き切り子の城壁は弾けるように明滅する。

 1人の踊り子が、王宮に夜を連れてくる。

 舞台の幕が上がるとき、玻璃の王宮に夜が訪れるとき。

「踊り子と夜空のケープ」


☆短編シリーズ☆


名を、アイロンと言った。

「ストロベリー・ムーン」

生まれつき、顔にアザがあった。

それは子供の頃から変わらない大きさで顔の半分をおおっていた。 アザは丁度、アイロンを強く、押し付けたような形をしていた。

だから、なんとなく、自分の名前を口に出すのと同時に声にならない声で、「アイロン、」と呼んでいたのだ。

(水族館で見た、岩窟に潜む奇妙な格好をした魚と、自分を重ねていた。)

それは少し、自分から角度を持った所から音、という音もなく、しかし、確かな匂いを持ってこちらにやって来た。

アイロンは何のことかも分からず、けれど、それは確かにアイロンの目を見つめていた。

(あぁ、あの、さかなが、)

指先に、赤いものが見えた。

(そうか、今夜は月のやけに赤い、)

ストロベリー・ムーンの夜だった。


☆天使たち☆






天使の竪琴つけえり





天使のつけえり





天使の吐息つけえり





天使が爪弾くメロディのケープ




天使のケープ